郷土料理
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(ローカルフードから転送)
郷土料理(きょうどりょうり)とは、その地域に根付いた産物を使い、その地域独自の調理方法で作られ、地域で広く伝承されている地域固有の料理[1]。発祥時期などで、どの範囲を郷土料理とみなすかは意見が分かれる(後述)。名物料理であっても、地域振興のために作り上げもしくは宣伝を行う「ご当地グルメ」や特定の企業が提供する料理、土産菓子などとは異なる。
定義
[編集]研究家により解釈と定義は異なる[2]。
- 岡本ほか(1987)は、
- 郷土料理とは、その地方の特産品をその地方に適した方法で調理したものをいう。
- 木村(1974)は、
- 石川 (2000)[2]は、
- 種類や調理方法における地域性は、地形、気候、地域ごとの生産物といった自然的要因だけでなく、地域の人々の気質、宗教、産業技術の発達状況、時代・地域社会の思潮などの人為的要因によっても形成される。
- 安藤 (1986)[2]は、
- その土地で大量に生産される食べ物をおいしく食べようと工夫したことにより生まれたもの
- 地方の特産物を利用してできたもの
- その地方で生産されない材料を他地域からもってきて、独自の料理技術を開発して名物料理に仕上げたもの
現状
[編集]食品の流通、加工、貯蔵の各技術の近代化により食品の均質化と家庭内調理法の画一化が進み食生活の地方色が薄れつつある[3]と指摘されている。また、古くは各家庭で調理されていたが、工場で生産された調理済み品を購入する形態が増加している[4]。
日本の文化庁は、郷土料理を含む各地の伝統的食文化を残していくため「100年フード」という認定制度を設けている[5]。
現代では郷土料理にアレンジと新たな地域産品を加え、地域興しを兼ねたご当地グルメが各地で観光資源として商品化されている[6]。
脚注
[編集]- ^ 杉浦孝王:郷土料理探訪 辻調グループ(2022年6月9日閲覧)
- ^ a b c 春日千鶴葉、柏木良明「長野県の郷土料理における地域的特性の比較」2016年度日本地理学会秋季学術大会 セッションID:215, doi:10.14866/ajg.2016a.0_100058
- ^ 岡本ほか(1987).
- ^ 中村喜代美、新澤祥恵「現代の食生活における郷土食 郷土料理の調理実態」日本調理科学会 平成14年度日本調理科学会大会 p.49, doi:10.11402/ajscs.14.0.49.0
- ^ ジンギスカン、きりたんぽ、宇都宮餃子…豊かな地域食 131件認定 文化庁「100年フード」『読売新聞』夕刊2022年5月21日5面
- ^ 村上喜郁「ご当地グルメの競争優位構築に関する予備的考察」『大阪観光大学紀要』 2010年 10巻 pp.155-166, doi:10.20670/00000076, NAID 110007689789, 出版者:大阪観光大学
参考文献
[編集]- 『郷土料理大図鑑』発行:PHP研究所 監修:向笠千恵子、2008年、ISBN 978-4569689203
- 岡本順子, 加藤みゆき, 大森正司, 川端晶子, 佐々木敏雄「データベースによる郷土料理の構造解析」『日本家政学会誌』第38巻第5号、1987年、425-429頁、doi:10.11428/jhej1987.38.425。
- 木村ムツ子「郷土料理の地理的分布」『地理学評論』第47巻第6号、1974年、394-401頁、doi:10.4157/grj.47.394。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 松下幸子「いわしの郷土料理の系譜」『調理科学』第7巻第3号、日本調理科学会、1974年、164-168頁、doi:10.11402/cookeryscience1968.7.3_164、ISSN 0910-5360、NAID 130004400611。
- 志賀リツ「日向の郷土料理」『調理科学』第10巻第4号、日本調理科学会、1977年、199-204頁、doi:10.11402/cookeryscience1968.10.4_199、ISSN 0910-5360、NAID 130004132052。
- 花輪由樹「報文 現代社会における郷土料理概念の一考察:E. シュプランガーの郷土概念より」『家政学原論研究』第50巻、日本家政学会家政学原論部会、2016年、30-38頁、doi:10.20596/jphe.50.0_30、ISSN 2433-5312、NAID 130005178203。
- うちの郷土料理:農林水産省