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ヤマハ・ビラーゴ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ビラーゴVirago)とは、ヤマハ発動機が製造していたクルーザー(アメリカン)タイプのオートバイである。

正式な車名は型式のXVエックスブイ)となっており、サブネームである「ビラーゴ」は「じゃじゃ馬娘」「口やかましい女」「お転婆娘」という意味。 本項ではXV系モデルのうち、主に「ビラーゴ」と「スペシャル」のサブネームを与えられたモデルを解説する[注 1][注 2]

概要

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1981年に発売されたXV750Special

1980年代前半までの「国産アメリカン」は、スタンダードなロードスポーツモデルをベースにしている点が特徴的であった。キャスター角の調整と前後タイヤ径の変更(前輪側のインチアップと後輪側のインチダウン)により車体を後ろ下がりに調整し、プルバックハンドルと段付シートの装着によりホースバックスタイルのライディングポジションとしたモデルであり、厳密にはクルーザー仕様と言うべき車種であった。なお、当時のクルーザー仕様のサブネームには、メーカー各社とも命名に特徴があり、ヤマハの場合は「"スペシャル"」とされるのが通例だった[1]

その中で本物志向のアメリカンを狙っていたのが1981年に発売されたXV750スペシャルであり、ホンダも同じコンセプトでCXカスタムをラインアップに加えていた[注 3]。しかしXV750スペシャルは当時の国内保安基準からスタイル的にアメリカンになりきれない遠慮があったため、それを割り切ってフルモデルチェンジを行ったのが1984年に発売されたXV750ビラーゴである。

低いシート、長いフロントフォーク、段付シート、空冷V型エンジンを搭載するという点で最もアメリカンに近かった。しかし中途半端に馬力を求めたエンジン特性のせいで、アメリカンの醍醐味である鼓動感が抑えられていた。

これを見たホンダが水冷ながらも馬力を低く抑え、トルクやエンジンの鼓動というアメリカン特有の味を前面に出したのが、バイク史上に残るヒットとなったスティードであり、ヤマハもそれに応じる形で、後にドラッグスターへのモデルチェンジを行なった。

1981年の登場以来、シリーズ車種として排気量別に生産されていたが、日本国内では1996年に登場のドラッグスター(XVS)シリーズへと順次機種転換された。

なお、ヤマハ製クルーザーモデルの北米市場用ブランドとして「V-Star」シリーズがあるが、ラインナップのうち V-Star250 については輸出仕様のXV250ビラーゴが継続販売されている(他排気量では国内版ドラッグスター1100が V-Star1100 として販売されている他、基本的にXVS系モデルによって構成されるシリーズである)。このため、XV250ビラーゴは、1988年以来25年以上にわたって生産され続けているロングセラーモデルとなっている。

2011年5月には、静岡県浜松市にあるYAMAHAコミュニケーションプラザにオーナー達が集まり「Virago 30th Anniversary」が開催されオーナー同士の交流が行われた。

モデル一覧

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XV250

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XV250Virago
(3DM)
基本情報
排気量クラス 軽二輪
メーカー 日本の旗ヤマハ発動機
車体型式 3DM
エンジン 3DM型 248 cm3 4サイクル
最高出力 23 PS / 8,000 rpm
最大トルク 2.2 kgf·m / 6,000 rpm
乾燥重量 137 kg
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XV250ビラーゴは1988年に発売された。250 ccクラスながらロー&ロングの本格的なクルーザスタイルの車体構成に、新開発のV型2気筒エンジンを搭載する。 通常モデルはアップハンドルとフラットハンドルの2種類が用意されたほか、年式により「ビラーゴS」や「ビラーゴSP」などのグレードも存在する(SおよびSPは基本的に通常モデルと併売)。

2000年6月に後継機種のドラッグスター250が登場したことにより、日本国内での販売は終了となった。他方、輸出モデルとして生産は継続されている。 北米市場では、2007年モデルまでが「Virago250」として販売され、2008年モデル以降は「V-Star250」として販売されている。なお、最初期の北米市場では「XV250 Route66」の名称で販売された[4]

仕様沿革
  • 1988年1月[5]:3DM1(フラットハンドル)、3DM2(アップハンドル)
  • 1989年3月[5]:3DM3(フラットハンドル)※ビラーゴSP、3DM4(アップハンドル)※ビラーゴSP
  • 1991年3月[5]:3DM5(フラットハンドル)、3DM6(アップハンドル)
  • 1992年8月[5]:3DM7(フラットハンドル)、3DM8(アップハンドル)
  • 1994年2月[5]:3DM9(フラットハンドル)、3DMA(アップハンドル)
  • 1994年7月[5]:3DMB(フラットハンドル)※ビラーゴS、3DMC(アップハンドル)※ビラーゴS
  • 1996年2月[5]:3DMF(アップハンドル)、3DMD(フラットハンドル)※ビラーゴS、3DME(アップハンドル)※ビラーゴS
  • 2007年:2UJS(USA)[6]、2UJU(AUS)[7]
  • 2008年:2UJX(AUS)[8]
  • 2009年:46B1(US/CA)[9]
  • 2010年:46B3(US/CA)[10]、1BE1(AUS)[11]
  • 2012年:46B7(US/CA)[12]、1BE3(AUS)[13]
  • 2013年:46B9(US/CA)[14][15]、1BE4(AUS)[16]
  • 2014年:46BB(US/CA)[17][18]、1BE5(AUS)[19]
  • 2015年:46BD(US/CA)[20]、1BE6(AUS)[21]

XV400

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XV400Virago
(2NT)
3JB6
基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
メーカー 日本の旗ヤマハ発動機
車体型式 2NT
エンジン 26M型 399 cm3 4サイクル
最高出力 40 PS / 8,500 rpm
最大トルク 3.5 kgf·m / 7,000 rpm
乾燥重量 178 kg
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XV400スペシャルは1983年3月に発売された。

XV400ビラーゴは1987年3月に発売された。通常モデルとしてアップハンドルとフラットハンドルの2種類が用意されたほか、同年11月には特別仕様車「ブラックスペシャル」を発売(フラットハンドル仕様)。 1996年2月に後継機種のドラッグスター400が登場したことにより生産終了となった。

XV400スペシャル(26M)仕様沿革
  • 1983年:26M
    • 車体色:「ロマネスククリムゾン」「ネプチュニアンダークブルー」
XV400ビラーゴ(2NT)仕様沿革
  • 1987年:2NT(フラットハンドル) / 2NU(アップハンドル) / 2YX(ブラックスペシャル)
    • 車体色:2NT・2NU「ディープスカーレット」、2NT・2NU「カメリアグリーン」、2YX「グリニッシュブラック」。
  • 1989年:3JB1(フラットハンドル)、3JB2(アップハンドル)
  • 1991年:3JB3(フラットハンドル)、3JB4(アップハンドル)
  • 1992年:3JB5(フラットハンドル)、3JB6(アップハンドル)
  • 1994年:3JB7(フラットハンドル)、3JB8(アップハンドル)

XV750

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XV750Virago
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗ヤマハ発動機
車体型式 55R
エンジン 748 cm3 4サイクル
最高出力 60 PS / 7,000 rpm
最大トルク 6.4 kgf·m / 6,000 rpm
車両重量 212 kg
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  • XV750スペシャル → XV750ビラーゴ

XV1100

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XV1100Virago
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗ヤマハ発動機
車体型式 4PP1
エンジン 4PP1型 1,063 cm3 4サイクル
内径×行程 / 圧縮比 95.0 mm × 75.0 mm / 8.3:1
最高出力 60 PS / 6,000 rpm
最大トルク 8.3 kgf·m / 3,000 rpm
乾燥重量 223 kg
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XV1100ビラーゴは1995年2月に発売された。

日本国外生産・輸出モデル

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日本国外向け仕様となるモデルを列挙しているため、上記で解説した国内向けモデルとの実質的な重複を一部に含む(例:「XV250Virago」=「ビラーゴ250」)。

ビラーゴ125(4RF)
Virago 535
  • XV125Virago:国内版ビラーゴ250の排気量縮小モデル。[26]イギリス、ドイツ、イタリアのヨーロッパ仕様ではリアフェンダーが延長(追加)されヘッドライトはハロゲンH4を採用した小型クルーザー。台湾仕様ではヘッドライトはランプ。キャストホイールを採用し、サイドマーカー、メッキパーツ多用で豪華な大型バイクとして、XV125とXV125Sの2タイプが1995年に製造が始まり1996年から販売された。
  • XV240Virago
  • XV250Virago(1988年 - 2007年[27]):国内版のビラーゴ250に相当。
    • V-Star250(2008年[28] - ):北米・豪州仕様。名称変更を受けているがXV250の継続生産モデル。
  • XV500Virago:国内版XV400スペシャルの排気量拡大モデル。
  • XV535Virago(1987年 - 2000年[29]):国内版ビラーゴ400の排気量拡大モデル。
  • XV700Virago(1984年 - 1987年)
  • XV750Virago(1981年 - 1983年):国内版のXV750スペシャルに相当。
    • XV750Virago(1984年 - 1997年):国内版のビラーゴ750に相当。
  • XV920Virago(1981年 - 1983年):国内版XV750スペシャルの排気量拡大モデル。
  • XV1000Virago(1984年 - 1985年):国内版XV750スペシャルの排気量拡大モデル。
  • XV1100Virago(1986年 - 2000年[30]):国内版のビラーゴ1100に相当。

関連車種

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  • XV750E(1982年):XV750スペシャルをベースにしたロードスポーツモデル[31]
  • XV920R(1981年 - 1982年):国内版XV750Eの排気量を拡大したロードスポーツモデル。
  • XV1000TR1(1981年):国内版XV750Eの排気量を拡大したロードスポーツモデル。

脚注

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注釈

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  1. ^ 「XV○○スペシャル」に関しては、スペシャルの車名は日本国内専用名称であり、国外輸出モデルではビラーゴの車名で販売されたため、本記事内での取り扱いに含める。
  2. ^ XV系モデルの「XV1600ロードスター」「XV1700ロードスター」および「XV1900ミッドナイトスター」については、ビラーゴの車名とは無関係につき、本記事内での取り扱いには含めない。
  3. ^ ただしホンダ・CXカスタム水冷式横置きV型2気筒エンジンを搭載し、クルーザーというよりもツアラー志向のモデルである[2]

出典

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  1. ^ 外部リンク「BBB The History 時代を彩ったバイクたち ヤマハ XV400ビラーゴ」を参照。
  2. ^ HONDA プレスインフォメーション 1983年2月28日
  3. ^ BBB - XV250ビラーゴ ヤマハ ヒストリーNo:170_3
  4. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※1988年アメリカ仕様
  5. ^ a b c d e f g バイク情報Goo!! - ヤマハ XV250 購入チェックポイント
  6. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2007年アメリカ仕様
  7. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2007年オーストラリア仕様
  8. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2008年オーストラリア仕様
  9. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2009年アメリカ仕様
  10. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2010年アメリカ仕様
  11. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2010年オーストラリア仕様
  12. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2012年アメリカ仕様
  13. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2012年オーストラリア仕様
  14. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2013年アメリカ仕様
  15. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2013年カナダ仕様
  16. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2013年オーストラリア仕様
  17. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2014年アメリカ仕様
  18. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2014年カナダ仕様
  19. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2014年オーストラリア仕様
  20. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2015年カナダ仕様
  21. ^ ヤマハ発動機株式会社 - プロダクトライブラリ - XV250 ※2015年オーストラリア仕様
  22. ^ BBB - XV400ビラーゴ ヤマハ ヒストリーNo:124_3
  23. ^ 外部リンク「ウェビック - ヤマハ VIRAGO750[ビラーゴ]の総合情報」を参照。
  24. ^ goo 自動車&バイク - バイクカタログ - ヤマハ XV1100ビラーゴの詳細スペック
  25. ^ YAMAHA モーターサイクル - ストリートMCラインナップ - XV1100 VIRAGO 仕様(1997年6月6日時点のアーカイブ
  26. ^ “Thumb Block”. Thumb Block. (2020). doi:10.5040/9781350969698. https://doi.org/10.5040/9781350969698. 
  27. ^ 2007 Yamaha Virago 250 Home, information, info(2008年8月24日時点のアーカイブ)※北米仕様
  28. ^ 2008 Yamaha V Star 250 Home, information, info(2007年10月24日時点のアーカイブ)※北米仕様
  29. ^ 2000 Yamaha Virago 535 Specifications(2000年6月23日時点のアーカイブ)※北米仕様
  30. ^ 2000 Yamaha Virago 1100 Specifications(2000年3月25日時点のアーカイブ)※北米仕様
  31. ^ ヤマハ発動機 - コミュニケーションプラザ - 展示コレクション - 1982年 XV750E

関連項目

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外部リンク

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メーカー公式サイト
バイク情報ポータルサイト