ヘレナ・ラコチ

	1950年のヘレナ・ラコチ
選手情報
フルネーム	Helena Rakoczy
国籍	ポーランド
生年月日	1921年12月23日
生誕地	ポーランドクラクフ
没年月日	2014年9月2日（92歳没）
身長	166 cm
体重	55 kg
種目	女子体操競技
代表	ポーランド
所属	ソクウ・クラクフ; コロナ・クラクフ; ヴァヴェル・クラクフ
コーチ	セレク・コジオ; タデウズ・ダニエル; ウルスラ・ステンピンスカ
獲得メダル
オリンピック
世界体操競技選手権
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ヘレナ・ラコチ（ポーランド語: Helena Rakoczy ポーランド語発音: [/xɛˈlɛ.na raˈkɔ.t͡ʂɨ/], 旧姓：クシヌヴェク, 1921年 12月23日 - 2014年 9月2日）は、ポーランドの元女子体操競技選手。2004年に国際体操殿堂入りした^[2]^[3]。

1921年12月23日、ラコチはポーランドのクラクフに生まれた^[1]。幼少の頃はバレリーナになりたいと考えていたが、家庭の経済的な事情からバレエ学校に通うことは断念し、1934年にクラクフにあるポーランドの体操協会「ソクウ^[4]」（ポーランド語: Sokół）へ加入して体操競技のトレーニングを開始した^[1]^[5]。しかし、1939年9月にナチス・ドイツがポーランドへ侵攻して第二次世界大戦が始まり、ポーランドはドイツやソビエト連邦などに分割占領されるに至ったため競技生活は中断せざるを得なくなった。1945年に大戦は終わったもののポーランドは社会主義体制になり、「ソクウ」は廃止され体操競技のコーチらは当局に逮捕されるなど混乱が続いた^[5]。

こうした長きにわたる困難な時期を経験した後、ポーランド体操競技選手権が再開された1947年にラコチは初めてこの大会に出場し、その年から1956年までの間に7回出場して合計26個の金メダルを獲得した^[1]^[6]。獲得の内訳は次の表の通りである^[6]。

ラコチの金メダル獲得表（Xは獲得を示す）
年	個人総合
1947	X	X	X		X
1948			X		X
1949	X	X	X		X
1950	ポーランド選手権に出場せず。
1951	X	X	X	X	X
1952	ポーランド選手権に出場せず。
1953	X	X	X	X	X
1954	ポーランド選手権に出場せず。
1955	X		X		X
1956	X		X	X

1952年ヘルシンキ五輪と1956年メルボルン五輪にポーランド代表として出場し、メルボルン五輪の女子手具体操団体で銅メダルを獲得した^[7]。

しかし、ラコチが最も好成績を挙げた国際大会は世界体操競技選手権だった。28歳のときに出場した1950年7月のバーゼル大会^[8]においては個人総合で2位に2.316点差をつけて金メダルを獲得し、種目別でも跳馬、平均台、ゆかの3種目で金メダルを獲得^[9]。さらに、段違い平行棒で銅メダルを獲得した^[9]。また、1954年6月のローマ大会でも個人総合と段違い平行棒で銅メダルを獲得している^[10]^[11]。

1950年、ラコチはポーランドのスポーツ雑誌『プシェグロンドゥ・スポルトヴェゴ^[12]』の調査で「ポーランド最高のアスリート」に選ばれた^[13]。第二次世界大戦中を通して辛い占領の時代を経験したポーランド国民にとって、国際的な舞台で活躍するラコチはポーランドスポーツ復活の象徴だったのである^[1]。

競技生活引退後はコーチ、審判員として活動し、1960年ローマ五輪、1964年東京五輪、1972年ミュンヘン五輪ではポーランド五輪代表チームのコーチを務めた^[1]。また、米国でも現地のポーランドコミュニティで体操競技の発展に尽力した^[1]。

2014年9月2日に92歳で死去した^[14]。ポーランドのメディアは訃報の中でラコチを「20世紀におけるポーランド最高の体操競技選手の一人^[15]」、「スポーツ界における伝説的な世界チャンピオン^[16]」と報道している。

脚注

[脚注の使い方]

^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ Biografie Rakoczy (Krzynówek) Helena Polski Komitet Olimpijski ポーランドオリンピック委員会（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。
^ Helena Rakoczy - POLAND The International Gymnastics Hall of Fame 国際体操殿堂（英語）2017年12月9日閲覧。
^ 2004 - 8TH ANNUAL HALL OF FAME INDUCTION, OKC 国際体操殿堂（英語）2017年12月9日閲覧。
^ Polskie Towarzystwo Gimnastyczne "Sokół" – rok założenia 1885 ポーランド体操協会「ソクウ」（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。
^ ^a ^b Gimnastyczne wyżyny, czyli rzecz o Helenie Rakoczy - Polsat Sport 2014年10月26日（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。
^ ^a ^b Gimnastyka sportowa kobiet Mistrzowie Polski – PZG ポーランド体操連盟（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。
^ Gymnastics at the 1956 Melbourne Summer Games: Women's Team Portable Apparatus Sports-Reference.com（英語）2017年12月9日閲覧。
^ BEST sports - Artistic Gymnastics World Championship - Basel 1950 BEST sports（英語）2017年12月9日閲覧。
^ ^a ^b Championnats du monde de gymnastique artistique 1950 (PDF) FRG, Federatia Romana de Gimnastica（ルーマニア体操連盟）（フランス語）2017年12月9日閲覧。
^ Gymn Forum: 1954 World Champs, Women's AA Gymn Forum 2004年2月4日。（英語）2017年12月9日閲覧。
^ Gymn Forum: 1954 World Champs, Women's EF Gymn Forum 2004年2月4日。（英語）2017年12月9日閲覧。
^ Sport: serwis Przeglądu Sportowego - Przegladsportowy.pl プシェグロンドゥ・スポルトヴェゴ（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。
^ LEL, W poniedziałek pogrzeb Heleny Rakoczy SPORT.TVP.PL 2014年9月5日。（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。
^ Zmarła Helena Rakoczy Polski Komitet Olimpijski ポーランドオリンピック委員会 2014年9月4日。（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。
^ Agnieszka Machnacka, Gimnastyka sportowa: Helena Rakoczy nie żyje – Igrzyska24.pl – Igrzyska całą dobę アーカイブ 2017年12月9日 - ウェイバックマシン Igrzyska24.pl 2014年9月4日。（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。
^ ADAM WOJNAR, Legenda polskiej gimnastyki - krakow.gosc.pl GOSC.PL 2014年11月1日。（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

外部リンク

ヘレナ・ラコチ - オリンピックチャンネル
ヘレナ・ラコチ - Olympedia (英語)
ヘレナ・ラコチ - Sports-Reference.com (Olympics) のアーカイブ (英語)
ヘレナ・ラコチ - FIG (英語)

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[oli-1] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ Biografie Rakoczy (Krzynówek) Helena Polski Komitet Olimpijski ポーランドオリンピック委員会（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

[igh-2] Helena Rakoczy - POLAND The International Gymnastics Hall of Fame 国際体操殿堂（英語）2017年12月9日閲覧。

[ighof-3] 2004 - 8TH ANNUAL HALL OF FAME INDUCTION, OKC 国際体操殿堂（英語）2017年12月9日閲覧。

[4] Polskie Towarzystwo Gimnastyczne "Sokół" – rok założenia 1885 ポーランド体操協会「ソクウ」（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

[pol-5] Gimnastyczne wyżyny, czyli rzecz o Helenie Rakoczy - Polsat Sport 2014年10月26日（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

[PZG-6] Gimnastyka sportowa kobiet Mistrzowie Polski – PZG ポーランド体操連盟（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

[7] Gymnastics at the 1956 Melbourne Summer Games: Women's Team Portable Apparatus Sports-Reference.com（英語）2017年12月9日閲覧。

[8] BEST sports - Artistic Gymnastics World Championship - Basel 1950 BEST sports（英語）2017年12月9日閲覧。

[ro-9] Championnats du monde de gymnastique artistique 1950 (PDF) FRG, Federatia Romana de Gimnastica（ルーマニア体操連盟）（フランス語）2017年12月9日閲覧。

[10] Gymn Forum: 1954 World Champs, Women's AA Gymn Forum 2004年2月4日。（英語）2017年12月9日閲覧。

[11] Gymn Forum: 1954 World Champs, Women's EF Gymn Forum 2004年2月4日。（英語）2017年12月9日閲覧。

[12] Sport: serwis Przeglądu Sportowego - Przegladsportowy.pl プシェグロンドゥ・スポルトヴェゴ（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

[13] LEL, W poniedziałek pogrzeb Heleny Rakoczy SPORT.TVP.PL 2014年9月5日。（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

[14] Zmarła Helena Rakoczy Polski Komitet Olimpijski ポーランドオリンピック委員会 2014年9月4日。（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

[15] Agnieszka Machnacka, Gimnastyka sportowa: Helena Rakoczy nie żyje – Igrzyska24.pl – Igrzyska całą dobę アーカイブ 2017年12月9日 - ウェイバックマシン Igrzyska24.pl 2014年9月4日。（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

[16] ADAM WOJNAR, Legenda polskiej gimnastyki - krakow.gosc.pl GOSC.PL 2014年11月1日。（ポーランド語）2017年12月9日閲覧。

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典拠管理データベース
全般	VIAF
国立図書館	ポーランド

表話編歴世界体操競技選手権金メダリスト女子個人総合
1930年代	1934 ヴラスタ・ジェカノヴァ 1938 ヴラスタ・ジェカノヴァ
1950年代	1950 ヘレナ・ラコチ 1954 ガリーナ・シャムライ 1958 ラリサ・ラチニナ
1960年代	1962 ラリサ・ラチニナ 1966 ベラ・チャスラフスカ
1970年代	1970 リュドミラ・ツリシチェワ 1974 リュドミラ・ツリシチェワ 1978 エレナ・ムヒナ 1979 ネリー・キム
1980年代	1981 オルガ・ビチェロワ 1983 ナタリア・ユルチェンコ 1985 エレーナ・シュシュノワ / オクサナ・オメリヤンチク 1987 アウレリア・ドブレ 1989 スベトラーナ・ボギンスカヤ
1990年代	1991 キム・ズメスカル 1993 シャノン・ミラー 1994 シャノン・ミラー 1995 リリア・ポドコパエワ 1997 スベトラーナ・ホルキナ 1999 マリア・オラル
2000年代	2001 スベトラーナ・ホルキナ 2003 スベトラーナ・ホルキナ 2005 チェルシー・メメル 2006 ヴァネッサ・フェラーリ 2007 ショーン・ジョンソン 2009 ブリジット・スローン
2010年代	2010 アリーヤ・ムスタフィナ 2011 ジョーディン・ウィーバー 2013 シモン・バイルズ 2014 シモン・バイルズ 2015 シモン・バイルズ 2017 モーガン・ハード 2018 シモン・バイルズ 2019 シモン・バイルズ

表話編歴世界体操競技選手権金メダリスト女子跳馬
1950年代	1950 ヘレナ・ラコチ 1954 アン＝ソフィ・ペッテション / タマーラ・マニナ 1958 ラリサ・ラチニナ
1960年代	1962 ベラ・チャスラフスカ 1966 ベラ・チャスラフスカ
1970年代	1970 エリカ・ツハルト 1974 オルガ・コルブト 1978 ネリー・キム 1979 ドゥミトリタ・トゥルナー
1980年代	1981 マキシ・グナウク 1983 ボリアナ・ストヤノワ 1985 エレーナ・シュシュノワ 1987 エレーナ・シュシュノワ 1989 オレシア・ドゥドニック
1990年代	1991 ラビニア・ミロソビッチ 1992 ヘンリエッタ・オノディ 1993 エレーナ・ピスクン 1994 ジーナ・ゴージャン 1995 シモナ・アマナール 1996 ジーナ・ゴージャン 1997 シモナ・アマナール 1999 エレーナ・ザモロドチコワ
2000年代	2001 スベトラーナ・ホルキナ 2002 エレーナ・ザモロドチコワ 2003 オクサナ・チュソビチナ 2005 程菲 2006 程菲 2007 程菲 2009 ケイラ・ウィリアムズ
2010年代	2010 アリシア・サクラモーン 2011 マッケイラ・マロニー 2013 マッケイラ・マロニー 2014 ホン・ウンジョン 2015 マリア・パセカ 2017 マリア・パセカ 2018: シモーネ・バイルズ (USA) 2019: シモーネ・バイルズ (USA) 2021: レベッカ・アンドラーデ (BRA) 2022: ジェード・キャリー (USA) 2023: レベッカ・アンドラーデ (BRA)

表話編歴世界体操競技選手権金メダリスト女子平均台
1930年代	1938 ヴラスタ・ジェカノヴァ
1950年代	1950 ヘレナ・ラコチ 1954 田中敬子 1958 ラリサ・ラチニナ
1960年代	1962 エヴァ・ボサコワ 1966 ナタリア・クチンスカヤ
1970年代	1970 エリカ・ツハルト 1974 リュドミラ・ツリシチェワ 1978 ナディア・コマネチ 1979 ベラ・チェルナ
1980年代	1981 マキシ・グナウク 1983 オルガ・モステパノワ 1985 ダニエラ・シリバシュ 1987 アウレリア・ドブレ 1989 ダニエラ・シリバシュ
1990年代	1991 スベトラーナ・ボギンスカヤ 1992 キム・ズメスカル 1993 ラビニア・ミロソビッチ 1994 シャノン・ミラー 1995 莫慧蘭 1996 ディナ・コチェトコワ 1997 ジーナ・ゴージャン 1999 凌潔
2000年代	2001 アンドレーア・ラドゥカン 2002 アシュレイ・ポステル 2003 范曄 2005 ナスティア・リューキン 2006 イリーナ・クランスニンスカ 2007 ナスティア・リューキン 2009 鄧琳琳
2010年代	2010 アナ・ポルグラス 2011 眭禄 2013 アリーヤ・ムスタフィナ 2014 シモーネ・バイルズ 2015 シモーネ・バイルズ 2017 パウリーネ・シェファー
2020年代	2021 芦川うらら 2022 渡部葉月

表話編歴世界体操競技選手権金メダリスト女子ゆか
1930年代	1938 マチルダ・パルフィオヴァ
1950年代	1950 ヘレナ・ラコチ 1954 タマーラ・マニナ 1958 エヴァ・ボサコワ
1960年代	1962 ラリサ・ラチニナ 1966 ナタリア・クチンスカヤ
1970年代	1970 リュドミラ・ツリシチェワ 1974 リュドミラ・ツリシチェワ 1978 ネリー・キム 1979 エミリア・エベルレ
1980年代	1981 ナタリア・イリエンコ 1983 エカテリーナ・サボー 1985 オクサナ・オメリヤンチク 1987 エレーナ・シュシュノワ / ダニエラ・シリバシュ 1989 スベトラーナ・ボギンスカヤ / ダニエラ・シリバシュ
1990年代	1991 クリスティーナ・ボンタシュ / オクサナ・チュソビチナ 1992 キム・ズメスカル 1993 シャノン・ミラー 1994 ディーナ・コチェトコワ 1995 ジーナ・ゴージャン 1996 ジーナ・ゴージャン / 奎媛媛 1997 ジーナ・ゴージャン 1999 アンドレーア・ラドゥカン
2000年代	2001 アンドレーア・ラドゥカン 2002 エレナ・ゴメス 2003 ダイアネ・ドス・サントス 2005 アリシア・サクラモーン 2006 程菲 2007 ショーン・ジョンソン 2009 エリザベス・トウェドル
2010年代	2010 ローレン・ミッチェル 2011 キセニア・アファナセワ 2013 シモーネ・バイルズ 2014 シモーネ・バイルズ 2015 シモーネ・バイルズ 2017 村上茉愛 2018 シモーネ・バイルズ 2019 シモーネ・バイルズ
2020年代	2021 村上茉愛

脚注

関連項目

外部リンク