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ブルワリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブルワリーパブから転送)
16世紀の醸造所の様子。
発酵中のビール
瓶に詰める工程。
紀元前2500年頃のシュメールの醸造所からビールを購入したことを示す粘土板の領収書。

ブルワリー(ブルーワリー、ブリュワリーとも、英語: brewery)あるいはビール醸造所(ビールじょうぞうしょ)とは、ビールなどを醸造する場所をいう[1]。醸造用途に限らず、販売および酒場を兼ねる場合も同様に呼称される[1]英語圏では日本酒醸造所、酒造場もブルワリーと呼ばれる。ワイン醸造所についてはワイナリーを参照。

製造

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廃棄物

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ブルワリーでビールなどを製造後、ビール1リットルあたり約200グラムの醸造残渣英語版(ビール粕、麦芽加工残渣、麦芽かすなど)が排出される。これらは、大半がもと大麦などの穀物である。廃棄物の活用として、2025年時点の割合として、70%ほどが家畜飼料、10%はバイオ燃料、その他は食品添加物、肥料、キノコ培地などにも活用される場合があるが、20%程度は産業廃棄物として埋め立てられる。大麦ミルクや人工皮革、タンパク質と繊維に分解して活用するなどの試みもある[2]

ブルーパブ

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ブルワリーに併設されている醸造されたビールをできたてで提供するパブやレストランのことを示す。

ブルーパブ(en:brewpub)は、アメリカでは1990年代に流行しはじめた[3]

アメリカ

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マイクロブルワリー

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1960年代のアメリカでは、マイクロブルワリーの廃業や巨大ブルワリーからの買収が行われていた[4]。その中でフリッツ・メイタッグアンカー・ブルーイング・カンパニーの経営を立て直し、1980年には大きく発展することになる[4]。このアンカー・ブルーイング・カンパニーの成功により、1980年代には地ビールブームが訪れた[4][5]

日本

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製造場の所在地の所轄税務署長から酒類製造免許を受ける必要がある[6]

日本では酒税の徴収等の都合から、長らく大規模な醸造所 (ビール工場) しか事実上は認められておらず、大手4メーカーとオリオンビールの醸造所しか存在し得なかった。しかし、規制緩和の流れから、1994年4月に年間最低製造数量が2000klから60klに緩和された[注釈 1]。そのため、いわゆる地ビールを醸造する数多くのマイクロブルワリー(en:microbrewery)が誕生することとなった。

日本の地ビールは、当初から価格や流通など事情があり、大手ビールメーカーとの販売競争相手とはなり得なかった。結果的に、日本では極端に大規模なブルワリーと、極端に小規模なブルワリーが存在する二極構造が特徴づけられることとなった。

日本の大手のビール工場

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日本のほとんどの大手ビールメーカーの工場では見学コースが整備されている。見学の最後にはできたてのビールの試飲が可能であることが多い。また、できたての自社製品ビールが味わえるレストランビール園)を併設している工場も多い。

北海道

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東北・関東

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東海・北陸

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関西

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中国・四国

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九州・沖縄

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脚注

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注釈

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  1. ^ 規制緩和の詳細については「地ビール」の項を参照のこと。
  2. ^ 「サントリー九州熊本工場」は、清涼飲料の製造も行っているハイブリッド工場として2017年3月14日以降も名称を継続使用

出典

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  1. ^ a b デジタル大辞泉. “ブリュワリー(brewery)”. コトバンク. 2017年3月8日閲覧。
  2. ^ How beer sludge is being turned into vegan milk and leather” (英語). www.bbc.com (2025年2月7日). 2025年2月7日閲覧。
  3. ^ 穂積忠彦、水沢渓 著「第三部 地ビール誕生まで」、水沢渓 編『地ビール讃歌 生きているビール酵母を飲む』(第1版)健友館、1998年7月20日、41頁。ISBN 4-7737-0391-1 
  4. ^ a b c ビール業界ベンチャーの成功と世界の地ビールブーム”. アサヒビール株式会社 (初出年不明). 2011年1月24日閲覧。
  5. ^ ジョシュ・ハイアット "地ビール男爵に乾杯!", ニューズウィーク日本版, 2010年07月09日.
  6. ^ 【酒類製造免許関係】|国税庁”. www.nta.go.jp. 2025年2月7日閲覧。

関連項目

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