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チョンチョン

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チョンチョニーから転送)
複数のチョンチョンたちの絵画
チョンチョンたち(絵画)

チョンチョン(スペイン語: Chonchón)は、南米チリマプチェ族に伝えられているとされる魔物。人間の頭の姿をしており、二枚の翼のような大きなで羽ばたき飛び回ることが出来る、奇妙な鳴き声を上げながら空を飛ぶ[1][2]チュンチョチョンチョニーチョンチョニイ[3]

概要

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チョンチョンのスケッチ画
チョンチョン(Chonchoñ)のスケッチ画[4]

マプチェ族の伝承によれば、この空飛ぶ首は、たいがいは女性の志願者が、男の魔法使い(brujo)と契約して飛行の秘術を会得した姿であるという。術を得た女性は、夜になると生首が体から離れ、翼を生やし飛んでゆく。夜啼きの鳥のような声を発すといわれる。行く先は地下にあるレニ(reni)という秘密の集合所で、他の魔法使いたちも集い、魔術にふけたり宴を催す。夫が夜起きると妻の首がなくなっていた、という、まことしやかな話も当時は聞かれたという[5]

異伝によると、チョンチョンはマプチェの魔術師であるカルク英語版によって魔術的に変身させられた結果である。最も強力なカルクーだけが、この恐ろしい生き物になるための知識を持っていると言われている[要出典]

チョンチョンになるために、カルクは喉に塗る魔法のクリームによって自発的に変身する。このクリームによって頭部が胴体から切り離され、切り離された頭部がチョンチョンとなる。

ホルヘ・ルイス・ボルヘス幻獣辞典』の記述によると、妖術師にしかその姿を見せないとされており、「チュエ、チュエ」という声のみが聴こえるとされる。また、ソロモンの印(六芒星)を地面に描き、秘密の呪文を唱えればチョンチョンは地上に落ち、別のチョンチョンが助けにくるまでは決して飛び立つことが出来ないともいう[6]

病人のいる家の周辺を飛ぶといわれており、病人の血を吸うとされる。また、人間の首が離れて飛ぶものであるともいう[1][2][7]

類種

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首が離れて飛ぶという性質は東南アジアに多く伝わる同様の伝承や、中国の飛頭蛮(ひとうばん)や日本の轆轤首や抜け首などと近いと考えられている[要出典]

脚注

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  1. ^ a b マックス・フォーコンネ 著、辻哲也 訳 『新大陸の神話』 みすず書房 1959年 56頁
  2. ^ a b 笹間良彦 『図説世界未確認生物事典』 柏書房 1996年 141頁 ISBN 4-7601-1365-7
  3. ^ 水木しげる 『妖怪世界編入門』 小学館 1978年 6頁
  4. ^ Guevara (1908), Fig. 42.4 Ngúrúvilu on p. 323
  5. ^ Guevara, Tomás (1908). “Capitulo XIV. Concepciones míticas”. Psicolojía del pueblo araucano. Historia de la civilización de Araucanía. Santiago de Chile: Impr. Cervantes. p. 326, fig. 42. https://books.google.com/books?id=sbtoAAAAMAAJ&pg=PA326 
  6. ^ 柳瀬尚紀 訳 『幻獣辞典』 晶文社 1998年 98-99頁 ISBN 4-7949-1265-X
  7. ^ 深峰たかし『いる?いない?のひみつ』(ひみつシリーズ学習研究社、1981年

関連項目

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