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ピリメタミン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ダラプリムから転送)
ピリメタミン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
発音 [ˌpɪrɪˈmɛθəmin]
販売名 Daraprim
Drugs.com monograph
MedlinePlus a601050
胎児危険度分類
法的規制
薬物動態データ
生物学的利用能well-absorbed
血漿タンパク結合87%
代謝肝臓
半減期96 hours
排泄腎臓
データベースID
CAS番号
58-14-0 チェック
ATCコード P01BD01 (WHO)
QP51AX51 (WHO) (combinations)
PubChem CID: 4993
IUPHAR/BPS英語版 4800
DrugBank DB00205 チェック
ChemSpider 4819 チェック
UNII Z3614QOX8W チェック
KEGG D00488  チェック
ChEBI CHEBI:8673 チェック
ChEMBL CHEMBL36 チェック
PDB ligand ID CP6 (PDBe, RCSB PDB)
化学的データ
化学式C12H13ClN4
分子量248.71 g·mol−1
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ピリメタミン (英語: Pyrimethamine) は、ロイコボリンと併用してトキソプラズマ症シストイソスポーラ症の治療に用いられる医薬品。ダラプリム (Daraprim) の名で市販されている[1][2]。また、後天性免疫不全症候群患者のニューモシスチス肺炎 (PCP) を予防する第2選択肢として、ジアフェニルスルホンと共に用いられる。以前はマラリアにも使用されていたが、耐性原虫の出現のため現在では推奨されていない。ピリメタミンは経口摂取される[1]

抗葉酸剤に分類され、葉酸の代謝を阻害しDNA合成を妨げることによって作用する[1]。一般的な副作用には、胃腸障害、重度のアレルギー反応骨髄抑制が含まれる。葉酸欠乏性貧血の患者には使用すべきでない。また、発がんリスクを上昇させる可能性が懸念されている[1]。妊婦に処方されることがあるが、胎児に対する安全性は不明である[3]

ピリメタミンは1952年に発見され、1953年から医療に用いられている[1][4]WHO必須医薬品モデル・リストに掲載されており、医療システムに必要な最も効果的で安全な医薬品と見なされている[5]

各国での状況

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2015年時点でアメリカ合衆国ではジェネリック医薬品は存在せず、ピリメタミンを唯一製造していたインパックス・ラボラトリーズ社から販売権を買収したチューリング・ファーマシューティカルズ社のCEOマーティン・シュクレリにより、同年にピリメタミンの価格は1錠あたり13.50米ドルから750米ドル(治療1コースあたり75,000米ドル)に値上げされた(ダラプリム価格高騰問題[6][2][7]。シュクレリのダラプリム値上げ強行は全米の反発を生み、2020年にCerovene Inc社によるスルホンアミド系抗菌薬との合剤が、ジェネリック医薬品として初めてアメリカ食品医薬品局の認可を受けた[8]

他の地域ではジェネリック剤が入手可能で、価格は0.05から0.10米ドル程度である[9]

日本では2021年現在未認可。しかし、日本感染症学会厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に対しトキソプラズマ治療薬としてのピリメタミンの開発要望を提出したのを受けて、2013年1月に厚生労働省より開発要請がなされた。これを受けてグラクソ・スミスクライン2015年にトキソプラズマ用の希少疾病用医薬品としての認可を厚生労働省から受け[10]、発売へ向けて治験を進めている[11]

脚注

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  1. ^ a b c d e Pyrimethamine”. The American Society of Health-System Pharmacists. 2 December 2016閲覧。
  2. ^ a b Hamilton, Richart (2015). Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2015 Deluxe Lab-Coat Edition. Jones & Bartlett Learning. p. 54. ISBN 9781284057560 
  3. ^ Pyrimethamine (Daraprim) Use During Pregnancy”. www.drugs.com. 3 December 2016閲覧。
  4. ^ Sylvie, Manguin; Pierre, Carnevale; Jean, Mouchet (2008) (英語). Biodiversity of Malaria in the world. John Libbey Eurotext. p. 6. ISBN 9782742009633. https://books.google.ca/books?id=Sk0JBAAAQBAJ&pg=PA6 
  5. ^ WHO Model List of Essential Medicines (19th List)”. World Health Organization (April 2015). 8 December 2016閲覧。
  6. ^ Mullin, Emily. “Turing Pharma Says Daraprim Availability Will Be Unaffected By Shkreli Arrest”. Forbes. http://www.forbes.com/sites/emilymullin/2015/12/21/turing-pharma-says-daraprim-availability-will-be-unaffected-by-shkreli-arrest/#2c0b2be12e82 2016年11月10日閲覧。 
  7. ^ Alpern, JD; Song, J; Stauffer, WM (19 May 2016). “Essential Medicines in the United States--Why Access Is Diminishing.”. The New England journal of medicine 374 (20): 1904-7. PMID 27192669. 
  8. ^ トキソプラズマ症治療薬の後発品を初承認、米FDA薬事日報、2020年3月25日、2021年8月8日閲覧
  9. ^ High Drug Prices: Should We Blame Pharma Or The FDA?” (29 September 2015). 2017年3月23日閲覧。
  10. ^ グラクソ・スミスクライン ピリメタミンについて希少疾病用医薬品の指定を取得、グラクソ・スミスクラインHP、2015年12月22日、2021年8月8日閲覧
  11. ^ 新薬・治験情報→開発中の新薬→グラクソ・スミスクライン株式会社日本製薬工業協会、2021年7月9日更新、同年8月8日閲覧

外部リンク

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