スチームコンベクションオーブン
スチームコンベクションオーブン(steam convection oven)とは、主にホテルや病院、学校給食など大量調理を行う現場で利用される調理器具。スチームコンベクション[1]やスチコン[2]などの略称のほか、コンビオーブン(combi oven)とも呼ばれる。
概要
[編集]スチームコンベクションオーブンはコンベクションオーブンの一種である。
「コンベクション」は「対流」の意味であり、コンベクションオーブンにはオーブン内の空気に対流を強制的に起させる機構を持たせてあり、オーブン内の温度差を小さくすることができる[3]。コンベクションオーブンは「強制対流式オーブン」とも呼ばれる[4]。
スチームコンベクションオーブンは温風に加えて水蒸気による加熱調理が可能となっており、「焼く」「蒸す」「煮る」「炒める」「茹でる」「温める」といった調理が行える[5]。「蒸しながら焼く」といった調理も可能である[4]。
基本機能としては以下の3つの機能を持っている[4]。
- 蒸気 - 蒸し物全般や野菜加熱で使用する。
- 熱風 - ロースト、魚を焼くほか、パン、お菓子などの焼成にも使用される。
- 蒸気 + 熱風 - 蒸し焼き、煮物、炒め物や二次加熱に使用する。
特徴
[編集]- 温度と時間を正確に確認でき、作業を標準化できる[2]。
- 食品の中心温度を計測できる芯温センサーがある[2]。
- 釜を用いた茹で物の調理のように大量の水を捨てる必要がないため、調理場内の温度・湿度管理が容易になる[2]。
- ボタン操作で調理でき、調理時間中は他の作業を行うことができる(効率化)[2]。
- 同じ調理モードの調理であれば、2種類以上の調理物を同時に調理できる(効率化)[2]。
- 専用洗剤を使用して洗浄モードを選択することで、庫内の洗浄ができ衛生的である[2][1]。
歴史
[編集]オーブンは熱源に近い部分の温度は高く、遠い場所の温度が低くなるため焼きムラが発生しやすかった。これを解消するためにオーブン内の空気を強制的に対流させるコンベクションオーブンが発明されたのだが、オーブンの中で空気の対流=風が起きているため、食材の調味料が風で飛び散りオーブン内部が汚れるという問題があった[6]。この問題を改善するために研究をしていた西ドイツ(当時)のある技術者は、オーブンに水をいれたまま放置していたところ、水蒸気が発生していることに気付き、実用化して特許を取得した[6]。
西ドイツのラショナルはこの特許を買い取り、1976年にスチームを利用したコンベクションオーブン製品を販売したのが世界初の製品となる[6][7]。
日本ではフジマックが最初にスチームコンベクションオーブンを販売した[6]。
出典
[編集]- ^ a b “市立保育所調理業務委託”. 横浜市. 2023年6月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g “第5章 その他”. 文部科学省. 2023年6月23日閲覧。
- ^ 松浦達也「第1章 かたまりこそ正義 肉塊とごちそう!」『大人の肉ドリル: 家で「肉食」を極める! 肉バカ秘蔵レシピ』マガジンハウス、2014年、39頁。ISBN 978-4838727230。
- ^ a b c 一般社団法人日本エレクトロヒートセンター「4.5.10 業務用厨房機器への応用」『エレクトロヒートハンドブック』(新訂版)オーム社、2019年、204-205頁。ISBN 978-4274803703。
- ^ 三ツ井創太郎「スチームコンベクションオーブン」『V字回復を実現する! あたらしい飲食店経営35の繁盛法則』同文舘出版、2022年。ISBN 978-4495541071。
- ^ a b c d 大関ゆみの (2022年4月28日). “スチコンの歴史&オーブンの進化 ドイツで生まれたコンビオーブン”. 新調理なび。. スチコン塾. 2023年3月7日閲覧。
- ^ 『シンプルな厨房と厨房動線を具現化』(プレスリリース)ラショナル・ジャパン、2018年11月26日 。2023年3月7日閲覧。
関連項目
[編集]- ウォーターオーブン - 家庭向けに100V電源で利用可能にした製品