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りょうけん座アルファ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コル・カロリから転送)
りょうけん座α星A[1]
Alpha Canum Venaticorum
仮符号・別名 りょうけん座α2[1]
コル・カロリ[2],
Cor Caroli[1][3]
星座 りょうけん座
見かけの等級 (mv) 2.88[1]
2.84 - 2.98(変光)[4]
変光星型 りょうけん座α2型変光星[1](ACV)[4]
分類 A型星
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  12h 56m 01.66622s[1]
赤緯 (Dec, δ) +38° 19′ 06.1541″[1]
赤方偏移 -0.000014[1]
視線速度 (Rv) -4.10km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -235.08 ミリ秒/年[1]
赤緯: 53.54 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 28.41 ± 0.90ミリ秒[1]
(誤差3.2%)
距離 115 ± 4 光年[注 1]
(35 ± 1 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 0.1[注 2]
α星の位置
物理的性質
半径 2.49 ± 0.26 R[5]
質量 2.97 ± 0.07 M[5]
表面重力 3.9 ± 0.1 (log g)[5]
自転速度 18.4 ± 0.5 km/s[5]
自転周期 5.46939 [5]
スペクトル分類 A0spe[1]
光度 101 ± 12 L[5]
表面温度 11,600 ± 500 K[5]
色指数 (B-V) -0.12[6]
色指数 (U-B) -0.32[6]
色指数 (R-I) -0.06[6]
年齢 1億6,500万+6,000万
−7,000万
[5]
他のカタログでの名称
Asterion
りょうけん座12番星A[1]
BD +39 2580A[1]
FK5 485[1], HD 112413[1]
HIP 63125[1], HR 4915[1]
SAO 63257[1]
LTT 13717[1]
Template (ノート 解説) ■Project
りょうけん座α星B[7]
仮符号・別名 りょうけん座α1[7]
見かけの等級 (mv) 5.60[7]
分類 F型主系列星[7]
位置
元期:J2000.0[7]
赤経 (RA, α)  12h 56m 00.43258s[7]
赤緯 (Dec, δ) +38° 18′ 53.3768″[7]
赤方偏移 -0.000010[7]
視線速度 (Rv) -3.1km/s[7]
固有運動 (μ) 赤経: -232.86 ミリ秒/年[7]
赤緯: 55.69 ミリ秒/年[7]
年周視差 (π) 27.10 ± 9.54ミリ秒[7]
(誤差35.2%)
物理的性質
半径 1.5 R[8]
質量 1.47 ± 0.15 M[8]
表面重力 4.25 ± 0.22 (log g)[8]
自転速度 18 km/s[9]
スペクトル分類 F0V[7]
表面温度 7,080 K[8]
色指数 (B-V) +0.34[10]
色指数 (U-B) -0.03[10]
色指数 (R-I) +0.23[10]
他のカタログでの名称
りょうけん座12番星B[7]
BD +39 2580B[7]
HD 112412[7]
HIP 63121[7], HR 4914[7]
SAO 63256[7]
LTT 13718[7]
Template (ノート 解説) ■Project

りょうけん座α星は、りょうけん座で最も明るい恒星で3等星。春のダイヤモンドを形成する恒星の1つでもある。

特徴

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2011年3月1日に、イギリスで撮影されたりょうけん座α星

この星は実視連星で、合わせた視等級は約2.8等である。2つの星は約20″離れていて、小さな望遠鏡で容易に分離して見ることができる。

主星のα2星はりょうけん座α2変光星の典型的なもので強力な磁場を持っている(おおぐま座ε星を参照)。磁場の強さは、地球の約1500倍である。主系列星としては最も磁場の強い部類。ケイ素や、水銀や、ユウロピウムなどが、局所的に多い。表面に浮かぶこれらの元素以外を、使い果たしてしまっているためであると考えられる。また、が豊富に存在する金属線星のようである。表面上で元素が分離することに、磁場が関連していると考えられる。磁場の原因は分かっていない[11]。この磁場により、スペクトル線の強い部分が自転につれて見えたり見えなかったりするため変光し、その光度は5.47日周期で+2.84から+2.94まで変化する。

名称

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バイエル符号α Canum Venaticorum (略称はα CVn)。α2星の固有名コル・カロリ[2] (Cor Caroli)[3][12] は、ラテン語で「チャールズの心臓」という意味である[2][12][13][14]

この「チャールズ」が示す人物については、チャールズ2世のイングランドへの帰還と即位を称えてエドモンド・ハレーが命名したとする説が流布されている[13][14]。だが、チャールズ2世即位の際にはハレーはわずか3歳の子供であり、信憑性がない。「コル・カロリ」の名が初めて登場した1673年の文献には Cor Caroli Regis Martyris (迫害された王チャールズの心臓) と書かれていることから、これはチャールズ2世ではなく、父のチャールズ1世のことを指すとするのが妥当である[12][15]

2016年7月20日、国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Cor Caroli をα2星の固有名として正式に承認した[3]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v SIMBAD Astronomical Database”. Results for V* alf02 CVn. 2014年6月16日閲覧。
  2. ^ a b c 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、117頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年9月28日閲覧。
  4. ^ a b GCVS”. Results for alf 2 CVn. 2015年10月12日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h Kochukhov, O.; Wade, G. A. (2010). “Magnetic Doppler imaging ofα2Canum Venaticorum in all four Stokes parameters”. Astronomy and Astrophysics 513: A13. arXiv:1002.0025. Bibcode2010A&A...513A..13K. doi:10.1051/0004-6361/200913860. ISSN 0004-6361. 
  6. ^ a b c Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode1995yCat.5050....0H. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5a76628e9487&-out.add=.&-source=V/50/catalog&recno=4915. 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t SIMBAD Astronomical Database”. Results for LTT 13718. 2013年2月6日閲覧。
  8. ^ a b c d Allende Prieto, C.; Lambert, D. L. (1999). “Fundamental parameters of nearby stars from the comparison with evolutionary calculations: masses, radii and effective temperatures”. Astronomy and Astrophysics 352: 555-562. arXiv:astro-ph/9911002. Bibcode1999A&A...352..555A. ISSN 0004-6361. 
  9. ^ Royer, F. et al. (2006). “Rotational velocities of A-type stars”. Astronomy & Astrophysics 463 (2): 671-682. arXiv:astro-ph/0610785. Bibcode2007A&A...463..671R. doi:10.1051/0004-6361:20065224. ISSN 0004-6361. 
  10. ^ a b c Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode1995yCat.5050....0H. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5a76628e9487&-out.add=.&-source=V/50/catalog&recno=4914. 
  11. ^ James B. Kaler (2007年5月4日). “Cor Caroli”. 2014年4月27日閲覧。
  12. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. p. 22. ISBN 978-1-931559-44-7 
  13. ^ a b Richard Hinckley Allen. “Star Names: Their Lore and Meaning”. Bill Thayer. 2014年4月27日閲覧。
  14. ^ a b 野尻抱影『星座の話』(改訂)偕成社、1977年、88頁。ISBN 978-4037230104 
  15. ^ Ian Ridpath. “Star Tales - Canes Venatici”. 2014年4月27日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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