グリレス大目
グリレス大目 | ||||||||||||||||||||||||
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地質時代 | ||||||||||||||||||||||||
暁新世初期 - 現存 | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Glires Linnaeus, 1758[1] | ||||||||||||||||||||||||
下位分類群 | ||||||||||||||||||||||||
グリレス大目 (グリレスだいもく、学名: Glires) は、齧歯目と兎形目(およびそれらに近縁な絶滅群)からなるクレードである。グリレス (glīrēs) はラテン語でヤマネ科を意味する。別名
形態
[編集]齧歯目と兎形目は一生伸び続ける無根の切歯を持つという共通点があるが、齧歯目では切歯が上下顎とも1対ずつなのに対し、兎形目では上顎のみ2対の切歯を持つという特徴がある[3]。
分類
[編集]現生2目、絶滅3目の、計5目が含まれる。ただし、混歯目は側系統の可能性が高い。
カール・フォン・リンネの『自然の体系』で用いられた目の一つである。当時からネズミ類とウサギ類を含む分類群であったが、版によってサイやウオクイコウモリ類を含めるなどの差異があった[5]。1945年のジョージ・ゲイロード・シンプソンによる分類体系では山鼠区とされ、真獣類を区分する4つの区の一つに位置づけられた[1][6]。のちにハネジネズミ類がアナガレ類の類縁とみなされるようになり[7]、山鼠大目にハネジネズミ目を含めることもあった[2]。一方で1997年のマッケナとベルによる分類では、グリレス類はハネジネズミ類とともにアナガレ大目Anagalidaの一部とされた[8][9]。分子系統学の研究によりハネジネズミ類はアフリカ獣上目の一群として現生グリレス類との類縁性は否定されており、齧歯目・兎形目は霊長目・皮翼目・登木目と単系統群を形成し、ともに真主齧上目の一群として位置づけられるようになった[6]。レトロトランスポゾンの有無による研究データは明白にグリレス仮説を証明している[10]。細胞核DNAのデータはグリレス大目が真主獣大目と姉妹群たることを示すが[11][12]、核とミトコンドリア両方のDNAのデータでは根拠が薄い[13]。
上顎門歯が1対か2対かによって単歯類 Simplicidentata(齧歯目を含む)と重歯類 Duplicidentata(兎形目やミモトナ類を含む)の2群に大別される[4][14]。絶滅群であるアナガレ科Anagalidaeは、グリレス類に近縁な原始的グループとして知られている[4]。暁新世前期にはクラウングループとされるミモトナ類の一種Mimotona wanaが出現し、これより以前に初期グループの放散が始まったと考えられている[4]。暁新世後期に出現したアラゴミス科Alagomyidaeに分類されるトリボスフェノミス類の一種Tribosphenomys minutusは原始的な単歯類と考えられてきたが[4]、トリボスフェニック型に近い臼歯を持つといった現生齧歯類とは異なる特徴があり[3]、グリレス類のステムグループとする説もある[4]。エウリミルス科Eurymylidaeも原始的な単歯類と考えられているが[4]、単歯類・重歯類の中間的な特徴を持つ「混歯目」に分類されるほか[2]、兎形目に含めたり[15]、偶蹄目との類縁性が指摘されるなどの諸説があった[16]。ほかにグリレス類のステムグループとして白亜紀末に生息したザランブダレステス科Zalambdalestidaeを認める説もあるなど、初期群の系統関係には不明な点が多い[4]。
真主齧上目 |
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脚注
[編集]- ^ a b George Gaylord Simpson, “The Principles of Classification and a Classification of Mammals,” Bulletin of The American Museum of Natural History, Volume 85, American Museum of Natural History, 1945, Pages 1-350.
- ^ a b c エドウィン H. コルバート、マイケル モラレス、イーライ C. ミンコフ「第24章 齧歯類とウサギ類」「脊椎動物の分類体系」『コルバート 脊椎動物の進化 原著第5版』田隅本生訳、築地書館、2004年、359-372, 505-518頁。
- ^ a b c 冨田幸光「第10章 ネズミ類とウサギ類」『新版 絶滅哺乳類図鑑』伊藤丙雄・岡本泰子イラスト、丸善出版、2011年、120-136頁。
- ^ a b c d e f g h 西岡佑一郎・楠橋直・高井正成「哺乳類の化石記録と白亜紀/古第三紀境界前後における初期進化」『哺乳類科学』第60巻 2号、日本哺乳類学会、2020年、251-267頁。
- ^ Malcolm C. McKenna & Susan K. Bell, “History and Theory of Classification,” Classification of Mammals: Above the Species Level, Columbia University Press, 1997, Pages 11-34.
- ^ a b 毛利孝之・金子たかね「見直される哺乳類の系統分類」『西日本畜産学会報』第51巻、日本暖地畜産学会、2008年、5-12頁。
- ^ 茂原信生「食虫類の分類の最近の傾向—ツパイの問題を中心にして—」『哺乳類科学』23巻 1号、日本哺乳類学会、1983年、31-47頁。
- ^ Malcolm C. McKenna & Susan K. Bell, “Grandaorder Anagalida,” Classification of Mammals: Above the Species Level, Columbia University Press, 1997, Pages 104-221.
- ^ 日本哺乳類学会 種名・標本検討委員会 目名問題検討作業部会「哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
- ^ Jan Ole Kriegs, Gennady Churakov, Jerzy Jurka, Jürgen Brosius, and Jürgen Schmitz (2007) Evolutionary history of 7SL RNA-derived SINEs in Supraprimates. Trends in Genetics 23 (4): 158-161. https://doi.org/10.1016/j.tig.2007.02.002 (PDF版 [1])
- ^ Madsen O., M. Scally, C. J. Douady, D. J. Kao, R. W. DeBry, R. Adkins, H. M. Amrine, M. J. Stanhope, W. W. de Jong, M. S. Springer, 2001 Parallel adaptive radiations in two major clades of placental mammals Nature 409:610-614. [2]
- ^ Murphy W. J., E. Eizirik, W. E. Johnson, Y. P. Zhang, O. A. Ryder, S. J. O'Brien, 2001a. Molecular phylogenetics and the origins of placental mammals Nature 409:614-618. [3]
- ^ Ulfur Arnason, et al. Mammalian mitogenomic relationships and the root of the eutherian tree. Proceedings of the National Academy of Science 99: 8151-8156. https://doi.org/10.1073/pnas.102164299
- ^ André R. Wyss & Jin Meng, “Application of Phylogenetic Taxonomy to Poorly Resolved Crown Clades: A Stem-Modified Node-Based Definition of Rodentia,” Systematic Biology, Volume 45, Issue 4, Society of Systematic Biologists, 1996, Pages 559–568.
- ^ 川道武男・山田文雄「日本産ウサギ目の分類学的検討」『哺乳類科学』第35巻 2号、日本哺乳類学会、1996年、193-202頁。
- ^ 遠藤秀紀「正獣類の多様化(15)齧歯目と兎目のゆくえ」『哺乳類の進化』東京大学出版会、2002年、81-82頁。