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キャラクターデザイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
様々なキャラクターデザイン[注 1]

キャラクターデザインとは、アニメ映画コンピュータゲームなどに登場する登場人物(キャラクター)の外見やイメージをデザインすること。略して「キャラデザ」「キャラデ」とも称する。また、その業務の担当者のことは「キャラクターデザイナー」と称する。キャラクターデザイナーについても前述の略称を用いることがある。

デザインのリファイン

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原作のキャラクターデザインを派生作品のために翻案することはキャラクターデザインのリファインと呼ばれる[要出典]

メディアミックスや商品展開の浸透により、原作のキャラクターデザインを派生作品向けに翻案するケースが多くある(例: 小説の漫画化、漫画のアニメ化、アニメのパチンコ化)。リファインでは絵柄の最適化(例: 線密度や色数の単純化)や原作で視覚化されていない要素の追加(例: 背中姿、小物類)などがおこなわれる。

アニメ制作ではキャラクター原案からキャラクターデザインへの翻案がリファインに相当する(⇒ #キャラクター原案)。

キャラクターの描き分け

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複数キャラクターが登場する作品のキャラクターデザインでは「キャラクターの描き分け」がしばしば重視される[1]

各キャラクターは性格などのキャラクター設定が視覚的に伝わるようデザインされる。それと同時に、他キャラクターとの書き分け・差別化も考慮してデザインされる。これは複数キャラクターが並んだ際の認知負荷を下げるためや[2]、商品化の際のバリエーションを広げるためなどが理由である。

書き分け時に意識される属性の一例として以下が挙げられる:

設定(例: そっくりさん双子クローンパラレルワールド)により完全同一デザインがありうる場合でも、作劇の都合でキャラクター間に小さな相違点を設定するのが一般的である[要出典]。例として『∀ガンダム』のディアナ・ソレルキエル・ハイムのハイライトの有無やと髪の微妙な色合いで判別可能である[要出典]

キャラクター種別に基づく分類

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キャラクターデザインはキャラクターの種類によって分類できる。以下はその一例である:

  • メカデザイン: ロボットなど、機械的なキャラクターのデザイン
  • クリーチャーデザイン: モンスターデザインとも。非人間的かつ生き物的な存在のデザイン(例: 怪人怪獣、異形の生物)

分野ごとのキャラクターデザイン

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様々な分野でキャラクターデザインが存在し、分野ごとに特有の要素や工程が存在する。以下はその一例である。

実写映画・テレビ番組

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ウルトラシリーズ』、『仮面ライダーシリーズ』、『スーパー戦隊シリーズ』、『ゴジラ』といった特撮ヒーロー作品・特撮映画作品においてもキャラクターデザインという役職は存在しており、この場合は主にきぐるみやコスチュームのデザインを行う担当者を意味してキャラクターデザイナーという職が設定される。

実写作品は役者が顔出しで演技するものであり、人相の設定は必要がないが、変身ヒーローの場合はマスクやコスチュームなどがデザインされる。また、専用武器などの装備類についてはメカ専門のデザイナーが担当することが多いが、一部のものについては服装とのデザインの一貫性を持たせるためにキャラクターデザイナーらが必要なデザインを行うこともある[要出典]

特撮テレビ番組などはそのマーチャンダイジングによって大部分の収益を稼ぎ出す構造になっており、そのメインスポンサーである玩具メーカーの社内もしくは関連デザイン会社の玩具デザイナーが企画段階から商品展開を見越した形で、メインのキャラクターや登場するメカニックなどのデザインを行うことが多い。ただしこの傾向は、企業グループ内にデザインセクションを持つバンダイの提供する作品に事実上限定される。タカラトミーはそもそも社内にデザイナーを置いてのデザインワークにバンダイほど力を入れてはおらず、スポンサーとなった作品でも玩具用ギミックの提示に留まっていることがほとんどである。これは両社が合併してタカラトミーとなった後も変わっていない[要出典]

なお東映製作の特撮作品、特に1970年代後半以降の作品では、キャラクターデザインとして、クレジットされるデザイナーは主に敵側のキャラクターの衣装や着ぐるみ、そして敵側の各種メカニックや小物などを担当していた。これは前述の通り、番組のスポンサーであるバンダイ(1983年昭和58年)までは子会社だったポピー)のデザイン部門に所属するデザイナーがマーチャンダイジングも考慮してヒーロー側のデザインを担当するのが既定路線であると共に、その名前を番組中ではクレジットしないことも慣例化していたためである。なお21世紀に入ってからは、そのデザイン部門が発展したPLEXの名前が明記されるケースも多い。また劇中の設定やガジェット、担当するデザインに合わせて、その名称や肩書がより細かく明記されることも多くなっている。例としては平成仮面ライダーシリーズに良く見られる「クリーチャーデザイン」など。この場合、キャラクターデザインは石森プロ所属のデザイナーとされることが多いが、実際にはプレックスとの共同作業である[要出典]

漫画・小説

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新たに発表される小説本に添える挿絵として、イラストレーター漫画家などにより小説の登場人物の外見・服飾などがデザインされることがある。この場合にはキャラクターデザインではなく、挿絵本文イラストといった呼称が使用される。

小説などを原作とする漫画化作品の場合、既存の人物イメージが薄い場合や自由度が高い場合は必要に応じて漫画化の担当者などが登場人物の外見をデザインする。挿絵などでイメージが存在する場合はそれを叩き台として漫画用のキャラクターがデザインされる[要出典]

長期連載の漫画・小説ではキャラクターデザインの変化がしばしば見られる。その要因は作者・作品・掲載誌・読者など多岐にわたる。一例として「作者の画風変化」「アシスタントの交替」「作画機材の変更・デジタル化」「作品の方針転換」「掲載誌〆切への適応」が挙げられる[要出典]。これらの結果、主役格のキャラクターでも作品のスタート時点と最新時点で頭身や顔つきまでもが変わるケースもある。ギャグ漫画では自身のデザイン変化を自らネタにすることもある(例: Dr.スランプ』『ケロロ軍曹[要出典])。

コンピュータゲーム

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コンピュータゲームにおけるキャラクターデザインキャラクターの人相・髪型・服装などの外見を、監督脚本家の設定を参考にデザインすることである。

主にロールプレイングゲーム恋愛シミュレーションゲームが中心であるが、アクションゲームシューティングゲームなどでもオープニングデモエンディングデモムービーインストラクションカード必殺技カットインなどで必要な各種設定画が用意され、そこに人物が登場する場合にはキャラクターのデザインは必要となる。コンピュータゲームでは必要に応じて3Dモデルも作成される。

専任を置かず内製グラフィック担当が兼任する場合、「キャラクターデザイン」ではクレジットされないことが多い[要出典](クレジットされた例: 野村哲也[要出典]吉田明彦[要出典])。外注先は専業キャラクターデザイナー・漫画家・イラストレーターが多い[要出典]。アニメーターは比較的少ない(例: アニメとのタイアップ/メディアミックス[要出典]

アダルトゲームでは原画担当による兼任がほとんどである[要出典]。そのため「原画」「原画家」の語が「キャラクターデザイナー」の意で用いられることも多い[要出典]。アダルトゲーム業界は開発チームが小規模で個人への依存度が高いことが多く[要出典]、キャラクターデザイナーの影響力も大きい。そのためキャラクターデザイナー個人の成長・著名化・独立・転向・凋落などが開発チーム・ブランド・会社の存亡を実際に直接左右してきた歴史がある[要出典]

アニメ

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アニメ制作におけるキャラクターデザインキャラクターの外見設定、あるいはこれをデザインする工程・役職である[3][4]

アニメにおいてキャラクターは動くため、手描きアニメーションが可能なシンプルさをもったデザインが求められる。またアニメ制作は多人数分業であり一貫性を担保する必要があるため、三面図・表情集・基本動作集などの詳細なデザインが求められる。アニメ制作工程としては設定のサブ工程にあたり[5]、設定画は以降のプロダクション工程における基礎資料となる。アニメ制作職としては1作品に原則1人のみが置かれ、総作画監督を兼任する場合が多い[6]。キャリアとしてはアニメーター出身が多い[7]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ "キャラクターのデザインを考える時に大切にしていることは、体型の描き分けです。" マガポケベース編集部 2023 より引用。
  2. ^ "描き分け ... それはキャラクターをパッと見た時に、性別やおおよその年齢が分かった方が、読者は読みやすいのではないかという配慮からです。" マガポケベース編集部 2023 より引用。
  3. ^ "【キャラクターデザイン】…登場する登場人物(キャラクター)の外見やイメージをデザインするスタッフです。登場人物(キャラクター)の人相・髪型・服装などの外見を、監督やシナリオの設定を元にデザインし" 日本動画協会 2020, p. 12 より引用。
  4. ^ "つまりキャラクターデザインって、登場するキャラの絵柄のこと ... キャラクターデザイナーが「外見」を担当し" 堀田 2022, p. 1 より引用。
  5. ^ "キャラクターデザインとか、美術デザイン、プロップ(小物)デザイン、メカが登場する作品であればメカデザインも。" ドキドーキ!編集部 2023 より引用。
  6. ^ "主にキャラクターデザインをしてる方が総作画監督になることが多いです。" 以下より引用。第3回バーチャルツアー作画監督・総作画監督修正について”. madhouse (2013年). 2025年1月18日閲覧。
  7. ^ "キャラデザをやる人は、みんなアニメーターさんですか? 【監督】たいていはそうです。" 堀田 2022, p. 4 より引用。

参考文献

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関連項目

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