骸骨
骸骨(がいこつ)とは、第1義には、脊椎動物の死骸の腐敗が進んで有機物が消失したことで骨格だけになったもの[1][2][3][4][5]。白骨[1]。むくろ(骸)[3]。死体[3]。骨のほかに靭帯と軟骨をも含む[5]。第2義には、体の骨[1][3]。体の骨組[2][3]。骨格[1][3]。第3義には、勤めなどを終えた後の、役立たなくなった身の譬え[3]。
英語では "skeleton" の第1義とおおよそ同義である[6]。
日本語では一般に硬骨魚類などの骨格だけになった死骸は骸骨とは呼ばず、主にヒト、または哺乳類の骨格死体を骸骨と呼ぶ。ヒトの頭蓋骨(頭の骸骨)は「髑髏(どくろ、されこうべ)[7]」「しゃれこうべ"[8]」などと呼ぶ。
概要
[編集]乾燥した地域を除き、放置された死体は概ね最終的に骸骨となる、そのため、歴史的に骸骨は死の象徴であり、死神や各種の魑魅魍魎など、骸骨の姿であらわされるものも多い。他に「髑髏と骨」も骸骨をモチーフとしており、恐怖感の演出や死の危険を示す役割を果たしている。日本の骸骨妖怪にはがしゃどくろや骨女、狂骨などがあるが、実際には日本の伝承上に骨の怪異がそれほど多いわけではなく[9]、骨にまつわる妖怪も、中身がともなわずに恐ろしい外見だけで終わるものが多い[10]。
他方で腐乱しつつある死体が嫌悪感しか抱かせないのに対して、有機物が分解しきって乾燥した骨だけになってしまえば不潔感を抱く素材はほとんど無くなってしまう。そこからむしろ開き直った爽快さを感じることも可能であり、ユーモラスなものとさえ見なしえる。1976年に子供向けの番組で放送された曲「ホネホネロック」はその類である。その他にも一種の格好良さとして用いられる場合も多い。また、漫画やアニメを主とした映像作品等では感電した時の喜劇的表現として、電気を帯びて毛や衣服、身体全体が逆立ったキャラクターのシルエットの中に骨が透けて映る(映像作品では通常のキャラクターの絵と交互に点滅する)といった演出がなされることもある。
骸骨をモチーフとして作成された作品やキャラクターは数多く、Tシャツなどの衣服や銀細工のデザインにも使用されるなどその用途は幅広い。風水や占いでは、死を連想させるため、身近に置かないほうが良いとされることもある。
漢語では辞職を願い出ることを「骸骨を乞う」(乞骸とも)という表現がある。官職にある間は自分の体は主君に捧げたものとして、それを返してほしいと乞い願う意。
イメージ・表現・造形の例
[編集]- サンタ・マリア・インマコラータ・コンチェツィオーネ教会 ローマのヴェネト通りにある教会。大量の骸骨をあしらった装飾から“骸骨寺”とも。
- カラカ
- ラ・カラベラ・カトリーナ
- 歌い骸骨
- 歯痛殿下
文化背景
[編集]- メメント・モリ - トランジ
- 死者の日 - 死者の日 (メキシコ)
ギャラリー
[編集]-
世界初のSF専門パルプマガジン『アメージング・ストーリーズ』の1943年2月号表紙。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e 小学館『デジタル大辞泉』. “骸骨”. コトバンク. 2020年5月1日閲覧。
- ^ a b c 三省堂『大辞林』第3版. “骸骨”. コトバンク. 2020年5月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “骸骨”. コトバンク. 2020年5月1日閲覧。
- ^ a b 日立デジタル平凡社『世界大百科事典』第2版. “骸骨”. コトバンク. 2020年5月1日閲覧。
- ^ a b c 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “骸骨”. コトバンク. 2020年5月1日閲覧。
- ^ a b “skeleton”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2020年5月1日閲覧。
- ^ a b “髑髏”. コトバンク. 2020年5月1日閲覧。
- ^ a b 日立デジタル平凡社『世界大百科事典』第2版. “しゃれこうべ”. コトバンク. 2020年5月1日閲覧。
- ^ 村上ほか (2000), p. 54.
- ^ 造事務所 (2007), p. 109.
参考文献
[編集]- 造事務所 編著 著、多田克己 監修 編『日本と世界の「幽霊・妖怪」がよくわかる本』PHP研究所〈PHP文庫 そ4-12〉、2007年8月。OCLC 675942540。ISBN 4-569-66887-9、ISBN 978-4-569-66887-1。
- 村上健司 編著、スタジオハードインコーポレーテッド 著、スタジオハードMX 著『百鬼夜行解体新書』光栄、2000年12月。OCLC 166437556。ISBN 4-87719-827-X、ISBN 978-4-87719-827-5。