エスカンシアール
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エスカンシアール(escanciar)またはエスカンシアード(スペイン語: escanciado)[1]、あるいエスカンシアウ(アストゥリアス語: escanciáu)[2]は、スペインアストゥリアス地方におけるシードラを飲用する際の作法[3]。語源はゴート語に由来すると考えられている[4]。
用具・作法
[編集]必要なものはシードラの入った瓶とそのシードラを注ぐためのグラスで、このグラスはアストゥリアス・グラスと呼ばれ、口径が9センチメートル、底径が7センチメートル、高さが12センチメートルと決まっている。片手の親指および人差し指でグラスの下のほうを持ち、中指は底面にそえて保持する。この時、手の位置は腰よりも低くかつ身体の中心線にそっておく必要がある。もう一方の手で瓶を持つが、この際側面は親指、人差し指および中指で持ち、小指は底面にそえる。瓶は頭上にまで高く上げ、その位置からグラスにシードラを注ぐ。この落差を発生させる手法によりシードラが空気を含み、泡立ちが強くなる[5]。シードラを受けるグラスは傾けて保持し、グラスの壁面で受け止めるようにする。
注がれた後は飲むわけであるが、この飲み方にも作法がある。泡が残っているうちに一気に飲み干す[5]という見解と、グラスに注がれたうちの半分ほどを飲み、残りは床に捨てる[6]という飲み方が示される。
エスカンシアドール
[編集]上記のように特異な注ぎ方に特徴があるエスカンシアールは熟練を要し、専門に行うエスカンシアドール(escanciador)という職業もあり[7]、注ぎ方のコンテストも開催されている[8]。
エスカンシアドールという名のシードラを注ぐための器具もあり[9]、また、エスカンシアドールという名のシードラそのものも存在する[10]。
脚注
[編集]- ^ スペイン語の動詞escaciarの過去分詞男性単数形。
- ^ アストゥリアス語の動詞escanciarの過去分詞男性単数形。
- ^ 境 (2007, p. 590). 以下、脚注のない記載は同ページによる。
- ^ “DICCIONARIO DE LA LENGUA ESPAÑOLA - Vigésima segunda edición” (スペイン語). REAL ACADEMIA ESPAÑOLA. 2013年8月11日閲覧。
- ^ a b ホルヘ・ガルエ (2013年). “CIRレポート 4月号(スペイン)”. 山口県庁国際課. 2013年8月11日閲覧。
- ^ 境 (2007, p.590. 左側、写真の上。)
- ^ 奥村直子 (2011年). “林檎”. bon accueil(ボナクイユ). エリオドール. 2013年8月11日閲覧。
- ^ 境 (2007, p. 588)
- ^ es:Escanciador
- ^ 境 (2007, p. 592). 1914年創業で、ラベルにエスカンシアールをしているエスカンシアドールの図柄が描かれている。
参考文献
[編集]- 境博成「スペイン北部地方のリンゴ酒シドラおよびサガルドアの歴史と現状」『日本醸造協会誌』第102巻、第8号、585-593頁、2007年 。
外部リンク
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、エスカンシアールに関するカテゴリがあります。
- ウィクショナリーには、Escanciador(英語版)の項目があります。