肉
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肉(にく、英: flesh)
語義
[編集]- 動物の、主に筋肉からなる部分[1]。
- 上記の肉のうち、食用となるもの[1]。(動物には魚類も含まれ、広義には魚肉も含まれうるもので英語でも fish meat と言うが)(日本語では単に「肉」と言うと大抵はもっと狭義に用いて)特に、魚以外のものを指す[1][注 1]。
- 果実の、皮と種子の間にある柔らかい部分[1]。
単に「肉」というと、動物の、主に筋肉からなる部分のことである。素朴な表現では身体を「骨と肉と皮」などと言うことも多いが、この場合の「肉」は「骨」や「皮」と対比されている。「肉」は近世に解剖学が発展する以前の、素朴な概念であり、現代の学問では「肉」として研究されるのではなく、もっと細分化した上で研究されている。現代人があえて「肉」と言う場合は大抵、あえて非学術的な、おもに古代以来の素朴な概念枠を提示したいときである。
動物
[編集]『広辞苑』では「皮膚におおわれ、骨格に付着する[1]」との説明を載せている。素朴な概念では、消化器官・心臓・脳などは「内臓」として区別する方法も一般的である。
(現代的な、古代の概念体系とは異なった概念体系を用いて分析すると)「肉」は主に筋肉ではあるが、細かく見てゆくと、脂肪組織も含んでおり、血管も通っており、神経線維も含まれている。これはあくまで現代の細分化された概念体系、分類体系である。現代の概念枠のほうは「解剖学」、「動物解剖学」、「人体解剖学」を参照。
食肉
[編集]動物の肉のうち、食用に供するもの(食肉)を、日常的には単に「肉」と呼んでいる。例えば肉屋やスーパーの「肉売り場」などで販売されている。こうした店や売り場では動物の内臓(モツ)も扱っており、それも広義の食肉に当たる。→食肉、製肉
植物
[編集]菌類
[編集]機械装置と対比し人間の身体を指す用法
[編集]骨や皮と対比するのでなく、機械と対比する用法である。
- 機械装置を用いずに、直接、人の目で見ることは「肉眼」という。
- ワープロなどの機械を用いずに、人の手で筆やペンを直接持って書くことは肉筆という。
- マイク・電話・スピーカー・拡声器などの装置を通した声と対比して、人ののどから出て直接耳に届く「生の声」を「肉声」と言う[2][注 2]。
聖書における「肉」
[編集]- 肉 (神学) - 聖書では「肉」という表現が多用されている。様々な意味で用いられていて、霊(ヘブライ語(旧約)聖書のルーアハやギリシア語(新約)聖書のプシュケー)と対比した人間の物質的な面など、文脈により7通りほどのの用法があると指摘する研究者もいる。
漢字の部首
[編集]比喩
[編集]工学やDIYなどでは、比喩を用いて、素材を「肉」とたとえる場合があり、例えば「肉厚」は厚みが厚いことを指す。素材が過剰に使われている場合は比喩で「贅肉」と言ってみたり、不要な部分を削ることを「肉抜き」などと言うこともある。
また、機械装置の余分な部分も比喩で「贅肉」と呼ぶこともある。例えばレーシング・カーなどでも、早く走ることには不要な部分を「贅肉」と呼んで、製肉の加工で脂肪を包丁で削るのに喩えて「削り取る」などと表現して、設計図から除去したり、不要な機械部品を取り外す。
宗教国家での、肉食
[編集]サウジアラビアなどのイスラム国家では豚肉を食べることができない。なぜかというと「汚れた生き物」という教えがあるからである。
ヒンドゥー教では鶏肉以外を食べることができない。牛は神聖な動物、豚は「汚れた生き物」という教えがこちらでもあるからである。
作品タイトル
[編集]- 肉 (1976年の映画)(原題 Meat) - 1976年のアメリカのドキュメンタリー映画。フレデリック・ワイズマン監督。
- 肉 (2013年の映画)(原題 We Are What We Are) - 2013年のアメリカのホラー映画。ジム・ミックル監督。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 中国語では動物全般を「禽獣魚虫」で表すが(「禽」は「鳥」の意味)、日本の古語では鴨などの禽肉を単に「トリ」、獣肉を「シシ」、魚肉を「ウヲ」と呼び、「
猪 ()」の肉を「イノシシ」、「鹿 ()」の肉を「カノシシ」、また肉だけでなく生体も同じくそのまま呼んだ(このため「禽獣」を「トリシシ」とも読む)。「ししおどし」の「しし」は肉ではなく獣のことである。後に漢語の呉音からきた「ニク」に代わり、「肉」の異体字の「宍」で「宍肉 ()」、人名での「シシ」などに語が残っている。(シカも参照)。なお「獅子」はここでの「シシ」とは訓みが偶然一致しているだけで関係はない。なお「ウヲ」は訓読みであり、大和言葉、古代以来の純粋な日本語であり、仏教による禁忌によってタンパク質の摂食が獣肉から魚肉に代わり、酒宴で饗されることが多くなって「サカナ(酒菜、肴)」は魚肉のことと一般化され、やがて生体も「サカナ」と呼ぶ慣習が生まれた。 - ^ 「肉声でも聞こえる広さの部屋」などという。